危機は本当に予見できなかったのか。
旧経営陣が強制起訴された裁判。、最高裁が無罪と判断した。想定された結末ではある。

     要因が複雑な巨大事故で、一度は不起訴とされた個人の刑事責任を立証するのは極めて難しいからだ。
現行法にとどまらず、法人に高額な賠償金を科す「組織罰」などの新制度も考える時だろう。

   何もなくても涙が出る、子供でなく自分の世代の災害で良かったと思いたい…。
和合さんと話す被災者の声は悲痛だ。和合さんは事故当時の詩作で「絶対は無い」と繰り返した。

   安全神話が消えた今、あの惨禍の再発をどう防ぐか。
処罰や倍賞とは別に、避けては通れぬ将来への責任であろう。

     (  日経  春秋 より  )