コーチはなるべくマウンドにいかないに限る。少しハッパをかけたぐらいで立ち直るものではない。
この打者と勝負するか、次の打者と勝負するか、という点なども。

   ベンチが責任をもって決めることで、投手にお伺いをたてる筋の話ではない。
続投、交代の判断も同じだ。

   私は投手に(「代わるか」などとは聞かず「はい交代」と告げるだけだった。
必要があれば、試合後にロッカーで説明した。

   大の大人として、人前で指導されるのをみられるだけで恥ずかしいものだ。
自分がそうだったから、キャンプでも試合前の練習でも、ファンがいるところで選手に教えたことはない。

   コーチの仕事は楽屋でするもので、試合では引っ込んで、選手に任せる。それが大人の野球だ。

       ( 日経  悠々球論 より 「『救護班の違和感』」 )