そんな高橋を心配しての“目配せ”かと思ったが。
高橋宏斗のコメントには栗山監督がよく使うあるフレーズが隠されていた。
それは「勝ち切る」。日本ハム監督時代から良く使ってきた。
このフレーズを会見中、発した選手は高橋宏斗だけだった。
会見後に向かった首相官邸での優勝報告を終え、栗山監督は記者団にこう語っている。

「なかなか勝ち切らないと……。選手たちには伝えましたけど、歴史は『勝者の歴史』なので。
勝ち切らないと伝わらないことがあるんだ、だから勝ち切ろうというふうに言ってきましたけど。
選手たちが頑張って勝ち切ってくれたので本当に良かったです」

 その思いは最年少の高橋宏斗にまで伝わっていた。
集合時の人数確認など大会中の雑務を引き受けていた20歳から飛び出した力強い言葉に対して。
とっさに後ろを向いた栗山監督の表情には驚きの色が見てとれた。
  ( Number  Webより )