メキシコとの首脳会談に外交上の利点はあった。
国際会議が始まる前の「スマホいじり」や集合写真欠席など。

   物議を醸した行動も含め、外務省の助言不足を批判する声はある。
とはいえ首相の認識一つで事態は買えられたのではないか。

石井正文駐インドネシア大使は「国際関係を安定させるうえで米国の力と意思にもう頼れない」と指摘する。
日本は力をつけてきたグローバルサウス(新興・途上国)との関係を強めて。

   国際社会で多数派をつくる必要があると訴える。
「30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界の18%を占めていたが、直近の23年は4%だ」。

   11月下旬の所信表明演説で首相自身が訴えた言葉だ。
日本が国際社会で仲間を作る力の源泉だった経済の規模はもうあてにならない。

   首相の持論のアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想を巡り。
英字紙ジャカルタ・ポストはこう突っぱねる。「経済力が低下する日本に引きつけられるものは多くない」。

 

       ( 日経  風見鶏 より 「炎上マナーに潜む死角」 )