しかし、この一年思うようにいかず苦しい思いをした人は。
その問題をそう簡単に忘れることはできないだろう。

   そのためにがっかりして自信をなくしたり、将来に不安を感じたりしているはずだ。
そうした時は、その問題を無理に忘れようとせず、少し立ち止まって振り返ってみる時間を取った方がよい。

   自分の体験を振り返る時は、自分の当たり前に縛られないよう意識することが役に立つ。
私たちは何かをするとき、こうなって当たり前と考えていることが多い。

   思ったようにいかないと、自分の当たり前が否定されたように感じてつらくなる。
当たり前と考えた自分に疑問を持つようにもなる。

   しかし、冷静に考えればわかるが、当たり前と考えていることがいつも実現できるわけではない。
生活の中では、思うようにいかないことの方がむしろ多いかもしれない。

   つらい気持ちになるのは、自分の当たり前に疑問を持つようにと、こころが伝えているサインなのだ。

   ( 日経  こころの健康学 より 「当たり前と現実を見比べる」)