決して逃げたとも恥だとも思わないけれど、人類の「役に立った」ことはいまや誰もが知っている。
ウイルスに脅かされた多くの命を守ったことはもちろん、私たちが日常生活を取り戻す強力な原動力になった。
エイズウイルス(HIV)やがん治療への応用も期待される。
ともされた光が照らす地平は、どこまでも広い。

   名前が世に知られるようになってから、本人はこんなことを言っている。
「科学者は、障害歌い続けるロックミュージシャンと同じ。
私も命ある限り、研究を続けていきます」
(増田ユリヤ著「世界を救うmRNAワクチンの研究者 カタリン・カリコ」)
      (  日経  春秋 より  )