ホテルに帰り、被害を最小限に抑える解決策を夜まで考えた。決めた作戦は「水の流れを変えてやろう」。
数日後にタイ政府高官と面会を取り付け、30分ほどの交渉に臨んだ。

  日本では自衛隊が災害地域に堤防をつくり浸水を防いでいると説明。
「何もしなければ海外投資はとまります。うちが沈めば世界経済が止まります」と訴えた。

  その日の夜行便で日本に戻った翌朝、手に取った新聞の朝刊1面では。
タイ政府が軍隊出動を決めたニュースが報じられていた。

  その後、再びタイに戻り、今度は軍隊と対話した。
堤防の代わりにコンテナをヘリコプターから落下させる方策など思いついたアイデをぶつけた。

  自社の従業員3千人に土のうの積み方を指導してもらい、現場への隊員派遣にもこぎつけた。
様々なアイデアが湧く原動力は、尽きぬ情熱だ。

  座右の銘は「情熱は力、情熱はスピード、情熱は未来」、情熱が人生の目標を生み。
目標と向き合うことでスピード感が出て、未来の成果につながるという信念がある。

     (  日経  Mystory より ミネベアミツミ会長CEO  貝沼 由久 )