お金を使って打撃投手を増やすとか、マシンを使えばいい、という話ではない。
なんといっても、選手の気持ちをかきたてるのは人の熱だ。

  身を粉にするコーチに「僕らより、だいぶきついと思う」(平沢)。
「鉄腕ですね。結果で恩返しするだけ」(安田)

  翌日はさすがに肩が張った、と言いつつ堀コーチは「選手が打ってくれれば、それでいい」。
その献身は自身も現役時代、コーチらに投げてもらった経験があるからだそうだ。

  そういえば、かつてロッテを率いたボビー・バレンタイン監督も。
夜間練習で打撃投手をしていた記憶がある。

  合理性を尊ぶ米球界出身の監督が、メリハリなく続く練習の有効性を認めていたとも思えないが。
結局、人材という卵は人間の体温でしか孵化(ふか)しないと知っていた。
その原理は万国共通なのに違いない。。

    ( 日経  逆風順風 より )