悲願の初優勝へ前進した。1敗同士の首位対決で、高安が大関大の里を撃破。
立ち合いでぶちかまし、低い体勢で出続けた。
「ポイントを押さえて攻められた。しっかりこらえて前に出た」。

   最後はもたれ込むように寄り切った。  元横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)は高安の兄弟子。
二所ノ関部所属の大の里は、高安にとって“おい弟子”にあたる。

   スピード出世で駆け上がる逸材との取組は、昨年5月の夏場所で白星を挙げて以来2度目だった。
「どんどん進化している。今のうちに勝っておかないと、そのうち勝てなくなる」と奮起。

   「今は番付を抜かれちゃっている。胸を借りるつもりでやらないと」。
全力でぶつかって再び勝利をつかみ、「こういう場でやれることは光栄。

   思い出に残る一番になった」とかみしめた。
3日間で1横綱2大関をなぎ倒した。8日目に横綱豊昇龍から金星獲得。その後も大関相手に連勝した。

   「いい相撲を取れている。終盤戦はこれを自信にしたい」と手応えを口にする。
これまで数え切れないほど優勝争いに加わってきたが、まだ賜杯を抱ことはない。

   この日の取組後、プレミアムチョコレート味のスポーツドリンクをごくりと飲み干し。
「あー、うまい」とつぶやいた。悲願成就へ、中盤のヤマ場を次々突破。残り5日間を戦い抜。

   極上の美酒に酔いしれる。

            (  日刊スポーツ より   )