芸人という生業(ないわい)でさえ、たまたま飯が食えるから続けているだけ。
特段、愛着があるわけでもない。

  いわば、アプリひとつもロードしていないスマートフォン。  
初期設定のまま暮らしていますが、別にそんな人間がいてもよいのではないでしょうか。

  「一生はあっという間!」「生きがいを!」「夢を!」といったあおり文句を伴奏に踊るのも。
結構ですが一方で「人生って、そんなにやることあったけ?」との疑問がふと頭をよぎる次第です。

  70代はテニス三昧と誓ったとて、いずれラケットを置き、コートを去る日が必ず来る。
いえ、家相談者さんなら、ご友人と旅行、土いじりに精を出すなど。

  いくらでも、暇つぶしは編みだ出せるでしょう。
肝心なのは「本来暇なのだ」と自覚することかと。

    ( 日経  なやみのとびら より  80代の過ごし方が分からない  山田ルイ53世 )