ただ、横綱昇進時から「長くは取れないだろうという気持ちでいた」と話した。
持病の両ひざと糖尿病で、すでに満身創痍だった。土俵入りも異例の両ひざサポーターで務めた。
その体を揺り動かしていたのは、湧き出る闘志だ。
「自分は、今まで相手と戦うというよりも自分との向き合い方を一番に考えてきた。
『誰よりも努力して、自分に嘘をつかないで自分に負けるな』と、言い聞かせていた」という。

   新横綱で優勝した場所で白鵬が引退。その後、20場所は一人横綱だった。
後進が育つまでの思いも体に鞭打つ要因だった。「(6日目時点)今場所は2人の大関の綱取りもかかっている。新しい大関の誕生、若い力も多く出てきているので、本当にみんなの活躍が楽しみでしょうがない」。
背負ってきた重荷を任せられる存在が見えてきた安ど感も漂っていた。

   相撲とは何か、の質問には「ただのスポーツではなく。
国技として私たちは日本人だという誇りを思わす、奮い立たせるためにあるものの一つ。
多くの方がリスペクトし、支えてくれている。だからこそ、綺麗に美しくないとダメなもの」と答えた。

   横綱とは、の問いには「力士の見本にならないといけない。
目指さないといけない地位なので、求められることもたくさんある。
なったら、なったで、それを感じ取ると思う。言葉で表せないけど、横綱は横綱かな、と思う」。
また、「横綱に上がるまではがむしゃらに『ただ、強くなりたい。
横綱になりたい』という思いで稽古に取り組んできたが、横綱になってから本当の奥深さというか。
国技としてどういうものか、ちょっとずつ感じるようになり、それを深く思うようになった」と語った。

     (  TBS NEWS DIG より  )