この年末年始に帰省する人は2割もいない。そんな調査を耳にした。
帰る里のない人も増えたのか。長きにわたる東京一極集中を思う。

  きのうの本誌で「ふるさと納税をやめよう。」という広告が目を引いた。
ふるさとを応援する意義を考えようと訴える。
もっともだが、ふるさとの概念すら曖昧な今、どう響くだろうか。

  伊集院さんは東京に出るとき、母にこう送り出された。
「自分をきちんと見つけられる土地に出遭えたら、そこで生きていきなさい」。
居場所がふるさと、ということだろうか。

  母の言葉は身体に生き続け、旅先で「ずっと本当の故郷を探す旅をしている」という人に巡りあう。
それぞれの、ふるさとを想う年の瀬である。

  (  日経 春秋 より   )