自然のなかで体を動かすと爽快感を味わえ、体力、判断力も身につく。
極上の絵画に出会えるかも。鮮やかな緑。流れゆく霧、ぽっかり浮かぶ月・・・。一期一会の芸術だ。

  ハイキングなどで雨が降り、「雨具を着ましょう」というと、みんなとしゅんなる。
次に「雨音を聞きながら歩きましょう」で顔がゆるむ。
五感を働かせれば、自然はいつも楽しみをくれる。

  私は医師として、自然が持つ人間への影響・効果にも長年、目を向けてきた。
林野庁長官だった秋山智英氏が”森林浴”を提唱したのが1982年だ。

  都会の室内より森林内にいるほうがストレスが緩和するとの研究が90年代にまず注目を集め。
2000年代には「森林医学」という言葉もできた。
「森林セラピー基地」なども各地にある。

    ( 日経  私の履歴書 より  今井通子 登山家 )