「言葉になっていない」。韓国語でこういう時、道理や常識に外れている。
筋が通っていない、を意味するという。

   韓国文学の翻訳家、齋藤真理子さんはそこに「言葉を扱う人は世の中に良い手本を示すべきだ」。
という理念があるとみる。(「隣の国の人々と出会う」)

   文化人類学者の伊藤亜人さんが日韓文化を比較した「日本社会の周縁性」によれば。
それは儒教の論理体系を重んじる理念である。

   韓国社会はりを理(ことわり)を糾(ただ)して是非を論じることを基調とし。
抽象的な思考にたけた指導力を競う。

   論理的な説得力が求められるグローバル化やデジタル化で、彼の国が日本の先をゆく一因である。

            (  日経 春秋 より  )