4月冒頭、スポーツ用品大手プーマの新人社員歓迎会に招かれた際もそんな話をした。
「いわばプロのになりたての今のエネルギーを持ち続けてください」と。でもこれが一番難しい。

   働けば、理不尽なことにも出くわす。理想と現実の壁にぶつかる。
正義を振りかざすだけではじゃ通れない。

   学校の勉学であれば、自分との戦いに頑張ればテストの点数も成績も上がるだろう。
でもサッカーでは、相手がある。仕事でもそう。

   完璧な商品をつくった。ただし商売はつくる人、売る人、買う人の相互作用だ。
買う人がいないのなら、どんな完璧もダメだと見なされるれかねない。

   自分として「これはいい」はずのことが否定される。納得いかない。投げ出したくもなる。
4年ほど前のある週。僕は自分でも実感できるほど調子が良かった。

   体はキレキレ、紅白戦で得点もした。監督にも所雲散された。なのに、ベンチ外だった。
皆さんお仕事人生にもこうした「なのに」がついて回ることだろう。

   そこで腐ったら終わりだし、諦めたらそこまで。やり続けるしかない。
大事なのは、自分の軸にちゃんと戻れるかどうか。これでやっていけるという柱を持てているか。

            (  日経 サッカー人としてより 「始まりの情熱をずっと」 )