立ち合いから小兵の利点を生かし、低く潜り込む立ち合いなども持ち味だが。
この日は真っすぐぶつかった。

  「今日という日まで、自分がやってきたことを見せられたらと思って。
はじめから真っすぐ行こうと思っていた」。

  番付に初めてしこ名が載った、7年前の前回序ノ口土俵よりも緊張したか問われると。
「しましたね」と話し、少し恥ずかしそうに笑った。

ただ「不安はなかった」といい、首のけがを再発するかもしれない恐怖心も「なかった」と、堂々と話した。
喜怒哀楽に満ちた、魅力的な語り口は健在だった。

  「ここから1歩1歩。命懸けで、と言ったら大げさですけど、いつ最後になってもいいぐらい。
後悔ないように、この気持ちを忘れずにいたい。

  安心した? まだ勝っていませんからね。安心はしていません」。
感慨に浸ってばかりはいられないのは、誰よりも分かっている。

 挫折も味わった今、炎鵬にとって相撲とは何なのか-。「自分の生きがいですね。相撲に生かされている。
相撲がなかったら、今の自分はないので。相撲に全てを懸けていきたい」。

  大相撲人生の第1章は、序ノ口、序二段、三段目と3場所連続7戦全勝で番付を駆け上がった。
この日からの第2章は、対照的に黒星スタート。再び関取を目指す、また新たな炎鵬の物語が始まった。


      (  日刊スポーツ より    )