むろん大屋根リングは車椅子やベビーカーでも上ぼれるようエレベーターを備える。
一方で檜皮は「今回の会場では、階段やエスカレーターを使って移動する過程が。

   アトラクションになっているケースが多い」と指摘する。
空へ向かうような大屋根リングのエスカレーターだけでなく、たとえばスペイン館入り口の。

   大階段もパビリオンへの期待感につながっている。
「理想論かもしれないがそうした『体験格差』を改善できないかと思う」。

   檜皮の作品では、車椅子が鏡面になっている箇所があり、鑑賞者自身の姿が映る。
公共空間の様々な障壁に、見て見ぬふりをしていないかだろうか。

   鏡をのぞき込む者にそう問いかけてくるようだ。

       (  日経  文化 より 「あなたを映す『鏡』の問いかけ」 )