毎回、数ページずつしか進まない。スローリーディングにかなり戸惑いました。
あちこちで横道にそれ、なかなか前に進みません。

  例えば百人一首が出てくると、先生は「百人一首を全部覚えてきなさい」とおっしゃる。
主人公が駄菓子を食べる場面では、どこでちゅ調達してきたのかアメを出してきて、みんなで食べる。

  アメをかみ切る音はふつう「ぽきん」ですよね。
でもこの小説では「こっきり」なんです。

  先生は「この方がやさしくて甘い感じがするでしょ」と説く。
そんな授業が延々と続きました。

  年をか重ねるにつけ、その意味がわかってきたような気がします。

    ( 日経  リーダーの本棚 より  前田 栄治 ちばぎん総合研究所社長 )