禁物である先頭打者への四球を、引きずってはいたらしい。
それでいながら抑える粘りは、年季のたまものだったようだ。

  大山の前の森下翔太も歩かせたが、これは計算ずくだった。
日米で修羅場をくぐってきた経験から「ここはボール(球)でいい、とか。
ある程度状況が読める」といい、危険を避けた。
「(森下は)当たっていたし、あそこはあれでいい」。若手ではこうはかない。
走者をためたくないと思うあまり、えいやで勝負してやられる。

  平野佳や佐々木朗ら、できる人たちは開き直らない傾向がある。
責任を受け止める覚悟であったり、読みを働かす経験であったり。
窮地でものをいうのはプロとしての自覚とスキルだ。
  失敗したときに安易に切り替えているようでは、まだアマチュアですよ、と教えられる。

      (  日経 逆風順風 より )