「能無しと悪党どもが戦争を・戦争を『戦いぬけ』『勝利まで』とけしかけて。
死にに行けと前線に追いやった」「それでも僕は剣を取らなかった(中略)・選んだのは別の勇気だ…。

   僕は国でいちばんの脱走兵になった」。
エセーニンは第1次大戦下、20歳で徴兵されて兵役に就いた。逃げることは時に戦うより勇気がいる。

   古来、脱走兵は裏切り者とみなされ、軍によって厳しく罰せられてきた。
だが、本当の勇気とは、間違った戦争や虐殺に加担することを拒み抗うことだろう。

   こうして逃げた兵士たちを「抵抗運動の闘士」として、のちに顕彰した記念碑は。
オーストリアのウイーンなど欧州各地にある。秦の勇者は誰か、評価は歴史が下す。

 

     (  日経  春秋より  )