コーチ時代、私は故障予防のため、秋季練習で自分の体の限界を知っておこう。
というトレーニングをしていた。

  50m走を30本、40本とこなすもので、選手それぞれベストタイムから0.3秒までの遅れなら1本と認める。
みんなヒイヒイいっていたが、どこまでやったら危ないか、ということを。

   知っておくのは、ケガ予防には大事なこと。
万が一限界を超えても、秋なら翌年に間に合う、という算段だった。

   トレーニング技術が進化した今なら、私のような原始的なやり方でなく。
もっと科学的にケガのリスクを抑えられるはずだ。

   24年連続勝利を挙げたヤクルト・石川雅規をみるといい。
自分に合った球を投げているから長続きするのではないか。

   今は球の回転数とか、スイングのヘッドスピードがわかり、数値目標が出てくる。
選手はそこを目指して頑張ってしまうわけだが、肝心なのは体全体のバランスだ。

   スピード至上時代は危なくて仕方がない。

       (  日経 悠々球論 より  )