投手一人一人の存在感も薄れ、みんな6分の一の存在になりさがる。
家を支える1本の大黒柱ではなく、プレハブの細い柱にすぎない。
もっと投げられるのに、と思っている投手たちが、これで満足なはずがない。

  プロ野球のシーズン最多投球回(2リーグ制後)は私が1961年にマークした429回3分の1。
中日全体では1179回で、3分の1以上を1人でまかなったことになる。
当時の根0-スはみんなそれぐらい投げた。

  みんなでイニングを分け合う今は、年棒も6等分ということになるのか。
民主的で良さげだが、民主主義も競争があってこそ。
一番を目指して投げるから個性が出て、スターが生まれるのに、これではエースになりようがない。

     (  日経 悠々球論 より  権藤 博   )