視線の先にあったのは人物に限らない。
2011年の東日本大震災。
2か月後に被災地に入り、何を撮っていいのかわからぬままシャッターを押した。

  都市としての東京はライフワークだった。
人びとの営みや創造行為、自然との関係。
ファインダー越しに「人間とは何か」という問いの答えを探していた気がしてならない。

  撮影現場では常に、曇りのない澄んだ目で被写体に向き合ってきたという。
本人の言葉を借りれば、「いつも晴れの日のような気持ちで臨んできた」。
3年前のインタビューで語っていた。。

   ( 日経  春秋  より 篠山紀信さん訃報 )