昭和の参謀

生活
  ずいぶん、日の出が遅くなりました、あさっては彼岸の入りです。
「暑さ寒さも彼岸まで・・・」という言葉は、確かに当たっていると思います。
台風が直撃するようです、気を付けてお過ごしくださいませ。
     読了の余韻 September  ②

 「 昭和の参謀 」 前田啓介 著 講談社現代新書 1430円(税込み)

 

  石原莞爾、辻政信、瀬島龍三、服部卓四郎、池田純久、堀栄三、八原博通、7人を書いています。
それぞれの遺族や関係者、資料などから、「陸軍士官学校」出身の戦前と戦後を描写しています。
  読んでみて、うーん、そうですねえ・・・、確かにそれぞれ優秀な人たちでしたが・・・。
「陸士」というところは、「机上で山も川も簡単に越える」教義であり。
いかに早く「自分の考えた戦略を説明、説得する」、あるいは「議論で打ち負かす」訓練ばかり。
  これは、司馬遼太郎がものすごく怒っていたこと、でもあるんです。
  以前、ご紹介した「静かなノモンハン」でも、辻政信によって。
犬死にさせられた兵士がたくさん出ています、これって、とんでもないことですよね。
  戦後、彼らは、アメリカ主導の「再軍備」に利用されたり、企業で「陸士の人脈」を利用されたり。
まあ、優秀な人たちですから、企業でも、それなりに力を発揮したようです。
  ひとり、八原博通だけが、農業や行商で生活して行きます。
沖縄戦で、多くの兵士や民間人の犠牲を出したときの参謀です。
大本営からの圧力や、いろいろ不遇な面もありますが、「責任」は免れないでしょう。
  多くの国民はこういう人たちによって犬死させられたのに、ぬくぬくと生きて・・・。
そんな感情も沸いては来ますが・・・。
  軍隊という硬直的な機関の「硬直性」が、少しだけ、わかる本でした。
    心に残る言葉  September  ⑱
   ” いま生きてあることに感謝し寿ぐ ”
  チェコの作家、カレル・チャペックが百年前に発表した戯曲「マクロプロスの処方箋」。
三百年を超えて生き続ける女性の秘密を知り、人々は興奮する。
「すべての人に三百年の人生を!」。
そうすればあらゆる知識を手にし、よく働き、人生の価値が増すと説く者。
寿命を売る商社を作ろうと言い出す者。
  彼らに対し女性がとった行動は・・・。
結末は伏せるが、チャペックはおそらく病気や老いや労働に悩みつつ。
せいぜい百年という限られた持ち時間を数える人生が、三百年の人生より劣るとは考えなかった。
到達した数字の大きさより、いくつでもどんな状況でも。
いま生きてあることに感謝し寿ぐ。そうありたいと思う。
(  日経  春秋より  )

    生活雑感  September  ⑱

  野田佳彦元首相が、安倍元総理の国葬に参列すると報道されました。
こういった度量が泉さんに欲しかったですね。

   今日もよい一日でありますように