いつの間にかメンバー全員寝込んでしまい。
気づいたら車を使って早朝出勤した新良次長がカンカンだった。
植木鉢まで倒され、店のロビーに泥が散乱している有様だった。

  こうした2年半の支店生活は、まことに大らかであり、大雑把ものであった。
高度経済成長は峠を越してはいたが、この先バブル経済が生じたのであるから。
国民はまだ「熱かった」のであろう。

  今の世の中っは厳密で緻密。
よくいえば上品だが、ともすれば揚げ足取りの時代と見えまいか。
低成長が定着すると余裕や寛容も減退し、他者に攻撃的になりがちという負の側面がありやしまいか。

     (  日経  私の履歴書より  高橋 温  三井住友信託銀行名誉顧問 )