その直後、もっと決定的ともいえる挫折を味わった。
日本光学工業を辞めて手伝うことにした義父のうなぎ屋で調理を終えたうなぎから。

    櫛を抜き取る芸当がどうしても身につかなかった。どれだけ努力し練習しても、完敗の連続。
手際の悪さでウナギが潰れ、20枚くらいをダメにした。

 「向かないことになるとこんなにもできないものかと。完敗でした」。
打ちひしがれ、人生観さえ変わった。たどり着いた境地は。

  「出来ないことがあるのだから、出来ることは何でもやってみよう。チャンスはつかみとっていこう。
題字に書いた「望まなければ何も始まらない」との思いをいつも胸に秘める。。

  (  日経 Mystory より  田中彌生  会計検査院長  )