福島県では数十年ぶりに見つかったというスナビキソウや紫の花が咲くミズアオイを見た。
現地で植物を抜いて持ち帰ることはしない。

  写真を撮って、簡単なスケッチをする。一番大事なのが色を確認することだ。
絵の具を持って行き、その場で調合して色を作る。

  地面の様子を描くことも大事にしている。
砂が黒かった、きめが細かかった、と言ったディティールを変えずに描こうと心がけている。

  被災地は変化が激しく、ある年にあった植物が翌年にはもうないということも多い。
工事が進めば土地の様子も変わっていく。

その時、その瞬間に見た物が大事だと心に留めている。

     (  日経 文化 より 「津波被災地、植生を描く」  倉科 光子  画家  )