非常に合理的な指導者だった。
体に計測機器をつけるなど、今でこそ当たり前となったスポーツ科学の分析を導入していた。
剣道は武道で修行だという意識の私は目からうろこが落ちた。
型にはまることを良しとせず、常に変化を求めた。

「変わらないとダメだ。変わって失敗したらやめればいい。挑戦しないと何も分からない」。
師範も競技剣道では珍しい二刀や片手上段を使いこなし、新しい世界を科学的に探求する人だった。
最近は年賀状での挨拶だけとなってしまったが、今も金沢大学剣道部の師範として活躍されている。
(  日経  交遊抄より  蝦名 和博 )