「新鮮な体験」をすれば前頭葉は鍛えられる
では、どのように「頭を使う」といいのでしょうか。
私の経験上、最も効果が高いと思われるのは、他人との会話です。

   他人としゃべるときには強制的に頭を働かせる必要があります。
自分が話したことに対して相手からの反応が返ってくるというやりとりで。

   「頭を使う」ことが有効なトレーニング法となるのです。
ふだんから頭を使っているつもりの人でも、認知症と強い関連のある前頭葉は案外と使っていないもの。

   読書は言語を司る側頭葉を使うだけですし、計算やある程度難しい数学の問題を解くときも。
頭頂葉しか使っていません。

   かつて前頭葉を切り取ることである種の精神病を治療することを目的とした。
「ロボトミー手術」というものがありました。

   さまざまな問題が起きたため、今日では行われなくなりましたが。
この手術の後でも知能指数はまったく落ちなかったといいます。
つまり、前頭葉は一般的な知的活動には使われていないのです。

   前頭葉が使われるのは、何かを創造したり新規なものに対応したりするとき。
前頭葉が老化すると、決まった行動を好むようになります。
行きつけの店にしか行かなくなったり、同じ著者の本ばかり読むようになったりするのが一つのサインです。

   逆に言えば、新しい店に出かけたり、読んだことのない作家の小説を読んだ。
可能ならば俳句を詠んだり小説を書いたりしてみると前頭葉が鍛えられます。

   ( 日経  プレジデントオンライン より )