日本で選挙があると、翌朝の新聞にこんな分析が良く載る。
自民党が勝利すると「保守地盤を手堅くまとめ・・・」、負けると「固めきれず・・・」。
こんな通り一遍の記事を読んでも、何が勝敗を分けたのか、さっぱりわからない。

  世論調査の政党支持率で、ほとんどの地域は自民党が1位だ。
その意味で若干の濃淡はあれ、全国どこでもが保守地盤である。

  では、なぜ自民党が負けることがあるのか。
ご存じの通り、自民党支持層と同じくらい巨大な無党派層が存在するからだ。
極論すると、日本は自民党と無党派層の二大政党制である。

  無党派層といっても、全くの白紙ではない。
高度経済成長期のころは「暮らしに特に不満はなく、政治に関心はない」という人々が増えた。
政治学の用語でいうところの「柔らかな保守層」である。

  こうした人々はあまり投票に行かなかったが、行けば自民党に入れた。
自民党は選挙戦を盛り上げようと躍起になった。1980年と86年にあった衆参ダブル選挙は一例である。

  バブル経済の崩壊と相前後して、無党派層は非自民に傾いた。
社会党の崩壊で行き場を失ったリベラル勢力が無党派層になだれ込んだというのが当初の分析だったが。
30年経っても傾向はあまり変わっていない。
(  日経  風見鶏より  )