調理法は「見て覚えろ」という時代。経験や勘ではなく、一貫して具体的な分量や根拠を伝えてきた。
日本料理の本質を正しく、次代につなぎたいという思いがある。

   息子はで15代目の義弘さんと、今も茶道や料理の専門学校などで実演も交えて教えている。
座右の銘は不易流行。料理も「時代に合わせて変えていけばいい」と語る。

   例えば、だしの素材はカツオ節からキハダマグロの削り節に変えた。
でも、「片足だけ踏み出して決して両足で飛び出したらあかんという思いがある」。

   各国の料理も好きで、中国料理の周富徳さんやフレンチの石鍋裕さんなどから。
フカヒレやフォアグラといったヒントを得たこともあった。しかし店には出さなかった。

   若い頃、あるお客さんに「あんたとこはあんたとこの料理をしなさい」と教えてもらったこともある。
「私の腹の中には瓢亭の料理、器、しきたりがあるんです。

    ( 日経 Mystory より  髙橋 英一  瓢亭14代当主 )