どの登場人物にを追いかけるかによって、ゲストが見届けるシナリオは異なる。
時には出演者の求めに応じて探し物をしたり、問いかけに意見を返したり。

   コミュニケーションを通じて、物語の進行に関与する。総合脚本・演出を手掛けたのは、きださおり。
「生徒と教師は皆、人生における後悔がある。劇中ではゲストからのエールを受けて、その後悔を振り払う。

   そして観劇後には『生きてさえすれば何度でもやり直せる』と。
ゲストの背中を押せるような物語を目指した」と力を込める。

   クライマックスで生徒たちは、あるスポーツの試合に臨む。ここはシナリオがない真剣勝負。
いつ誰が得点を決め、勝敗がどう転ぶか、まったくわからない。

   観客にとっても、それまで一緒に校内を歩き、なやみ、笑う姿を見届けてきた生徒たちだ。
プレーの一つ一つに歓声が上がり、ため息がもれる。

   虚実の境が曖昧な極めてイマーシブな瞬間が現れる。

            (  日経  文化より 「観客が回遊し物語りに参加」 )