「2、3日でもいいから家族と遊園地にでも行ってくれば」ー。2021年東京五輪の馬術競技を前に。
師事するウイリアム・フォックスピットさんからかけられた言葉に驚いた。
日本人の感覚からすれば、そんな大事な時期だからこそ、毎日馬に乗るものと考えがち。
だが、その言葉の背後には、試合で好結果を出すには。
「人も馬もリラックスすることが大事」という彼の考えがあった。

ウイリアムは過去に五輪で3つのメダルを獲得した。英国でも最も有名な馬術選手。
16年リオデジャネイロ五輪を最後に競技の一線を退いたという話を聞き。
人脈をたどって翌年から指導をお願いした。実績十分なのに気さくで誰とでも打ち解け。
周囲にすばらしい友人が集まる人柄で、懐の深さから発する言葉に説得力があった。
今やるべきことを的確に助言してくれる彼が、五輪を前に口にしたのが「リラックスの効用」だった。
(  日経  交遊抄より  戸本 一真