新型コロナウイルス禍の2020年春。初対面はオンラインだった。
それから間もなく寺島文庫の事務所を訪ねた。
実際にあった寺島さんはテレビで見るよりも柔和な印象で若々しく、17年の年齢差を感じなかった。
日本全体がコロナで混沌とするなか、危機の時こそ奮発すべきという言葉には。
世の中を叱咤激励するパワーがあった。

   長く生きていると、ふと自分の存在感を考えて迷うこともある。
そんな話題になったとき、寺島さんは「新しい人に会うことが助けになる」と言った。
その人のために何ができるか考える機会ができる。自分の使命はその過程で見つかるのだという。
明快な事絵にはっとした。彼の話で印象に残っている。

     (  日経  交遊抄より   )