右足をゆっくり上げたり、クイックで投げたり。5番末包昇大、6番坂倉将吾は。
100キロ台のスローボールで揺さぶり、内野フライに打ち取る。
そして代打中村健人。同じ球種でも球速を変え、三邪飛に退けた。

  大竹にはこんな持論がある。「100球投げるなら、すべて違う投げ方で抑えたい」。
一般的に、投手は同じ腕の振りで狙ったコースに投げる。その再現性を高めるために練習を積むものだ。

  だが、この左腕は首を横に振る。「打者は同じタイミングで同じ球が来るとなれば。
空振りした球を待っていれば次は打てるのでは、となると思うんです」

  7回無失点。負ければ首位を譲る一戦で、昨季から6連勝中だった広島キラーが立ちふさがった。
「狙いどおりいけました」。変幻自在の94球。自分らしさを詰め込んだ。
踏ん張った。

    ( 朝日新聞 ストーリー より )