体の奥まで温めてくれる豆腐料理や茶わん蒸しを口にしながら、ゆっくりと言葉を交わす。
季節は師走だ。木目調のテーブルをはさみ、アメリカへ旅立とうとしている彼にこう訊ねたことがある。

  《みんなはスーパーヒーローだと思っているよ。そんな周りの目はどう感じる?》
すると、あっけらかんとした口調でこう返された。

  「スーパーヒーローなんかじゃないですよ。できないことも、たくさんありますし」
彼はそう言って、微笑むのだ。

  それは2017年12月のことである。
彼はメジャー球団であるロサンゼルス・エンゼルスの入団会見を終えたばかりだった。
彼とは、当時23歳だった大谷翔平。その時、大谷はこんな言葉も残している。

  「自分がバッティングでもピッチングでも日本でトップだと思っていません。
そもそも、トップになったから(メジャーに)行くという発想自体がありません。
僕は、日本のトップじゃなくてもアメリカへ『行ってもいい』と思っています。

  そういう考えがなければ、高校からメジャーへ行きたいとは言わなかった。
絶対的な実力を日本で身につけてから行くのが普通かもしれませんし。
一般的に考えると『まだ行くべきじゃない』と思うんでしょうけど。

  もちろん『トップに上り詰めてから』というのは素敵だと思いますし。
格好良いとも思います。でも僕は『今、(アメリカへ)行きたい』から行く。

  日本でも、まだまだやり残していることがあると思うんですけど。
それが向こうに行ってできないのかと言えばそうではない。
向こうでもできることがあるし、日本でやり残していることを向こうで埋めることもできる。
今行くことで、今以上のことを身につけたりすることもあると、僕は思うんです」
(  婦人公論 より  )

      生活雑感  October ➉

  14日に、箱根駅伝の予選会が、あります。
そこに、立命館大、京産大、大阪経済大、放送大学関西の4校が、出場します。
100回の記念大会ですから、4校のうち、1校でも通ってほしいですね。

 

     今日もよい一日でありますように