座禅を始めたきっかけは、経営者として未熟な自分への戒めだった。
「四十にして惑わず」というが、40歳を迎えた当時は自分や会社の行く末に悩むばかりだった。

  禅に関する本を読んでも難解で、時には「あんなふうに座って何の意味があるのか」と自問自答した。
「座禅は捨てる作業です」。平井さんの初めての助言は今も忘れない。

  知識や経験は生きる上で不可欠だが、固定観念を持つと人も企業も劣化する。
座禅に集中するとある時から空っぽになる。

  すると新しい情報が入ってくるようになり、日々リフレッシュして生きられると。
以降、毎朝の座禅が日課になった。

   (  日経  交遊抄 より  )