今日も、朝から蒸し暑いですねえ・・・。
それでも、ずいぶん日の出が遅くなりましたし、日没も早くなってきました。
あと1か月ちょっとで、「木枯らし1号」の知らせが届くようになります。
暑いのもイヤですが、寒いのもイヤですよね・・・。
「迷犬」ジョン
小学生の頃、私の家でも「ペット」を飼っていました。
あるとき、オヤジの取引先から、中型犬を譲り受けました。
「譲り受けた」というよりも、「押しつけられた」という感じで、飼うことになりました。
今のように、いろいろなペットフードがあったり、動物病院が身近にあるという環境ではありません。
田舎ですから、なおさらです。
名前は「ジョン」、取引先がつけたものです。
この「ジョン」、アホ犬でした、のべつ幕なしに、誰にでも吠えます。
今思うと、「吠える=話しかけている」だったのでしょう、ただ、当時は、評価は低かったです。
しばらくして、「これはアカン、手に負えない」ということになりました。
「どこかに捨ててこよう」ということになりました。
オヤジが、車で遠くの山に捨ててきました。
当時は、野良犬、野良猫がたくさん近所にいました。
その背景には、こんな無責任なことが、まかり通っていたからでした。
すっかり、迷惑な「ジョンの吠える声」もなくなり、静かになりました。
2週間ぐらい経った、ある日の夕方、遊んでいると、なんと「ジョンが戻ってきた」のです。
これには、びっくりしましたし、シッポを振るのが可愛くてしょうがありませんでした。
どうやって、戻ってきたのか?犬の嗅覚って、すごいものだなあと感心しました。
ただ、戻ってきたのもつかの間、また、連れていかれてしまいました。
王鵬は完璧な相撲でした。ポイントは左のハズ押しに尽きます。
角度ある立ち合いから、左で相手のわきから胸のあたりを押しました。
この時点で竜電は、王鵬が左を差すように誘っていました。
誘いに乗り、左四つで組んでいたら土俵際で残られ逆転もあり得ました。
しかし我慢して、ハズ押しを貫き、最後は押し倒しました。
ただ腕力が強いだけで決まらないのが、ハズ押しです。
強い下半身があり、それが上半身と連動してこそ、初めて大きな力を生みます。
この日の取組は、しっかりした土台ができている証拠でもありました。
私が33回目の優勝を果たした2015年初場所。賜杯を手にした稀勢の里戦は。
もろハズからの押し倒しでした。しっかり力が伝わり、相手が軽く感じました。
王鵬もきっと、竜電の重みを感じなかったはずです。
この日の取組を見て思い出したのが、今年の初場所です。
私が花道の警備をしていると、連敗した王鵬が悩んだ様子で戻ってきました。
その時、アドバイスを送りました。
「四つになったり、がぶったりするスタイルが王鵬には多いけど、自分より強い人には通じない。
勝つパターンをつくった方がいい。四つに誘われても乗らず、まずハズで勝負すべきだ」と。
竜電戦で、その言葉が少しでも役立ったと思うと、私にとってもうれしい白星になりました。
王鵬の祖父、大鵬さんには生前、とてもお世話になり、角界の父だと思っています。
だから、その孫の王鵬には期待しています。迷わないでいい。
この日の相撲、そして自分に自信を持って土俵に立ってほしいです。
(宮城野親方=元横綱・白鵬、スポーツ報知評論家)
ぜひ60号を抜いてほしいですね。