パタリロ作者の魔夜峰央さんは、作中の男性同士の恋人の設定を「たまたま好きになった相手が。
男だったという感じ」とエッセーにつづっている。視線は自然でフラットなのだ。

  漫画家の自由な発想と、支える読者の応援があって成り立ってきたように思いますー。
展覧会場には、編集部の感謝の言葉が挙げられていた。

  「漫画は、自分にふりかかるいやなことのショックを弱めるはたらきをする」と。
哲学者の鶴見俊輔は説いた。

  思うに任せぬ現実の痛みや矛盾に漫画がまず光を当て、のちに社会の方が追いついてくる。
そんな循環を、たくまずして漫画は生み出してきたのだろう。

     (  日経  春秋 より