ラジオの文化放送で3人の演奏をオンエアしたこともある。
演奏はデタラメだったが、音楽をやる喜びは人一倍あった。
本能のままにドカンドカンと楽器を鳴らした。
原始人が木片をたたき、叫び声をあげるような感じだった。
太古の昔、音楽とはこんな風に始まったのだろう。

  波野君のベースには音を追求する意志がみなぎっていた。
彼は何をするにも本当にまじめなのだ。

  アパートの上階で父の初代松本白鷗さんが劇作家の福田恒存さんと。
シェイクスピア論を闘わせている場面に偶然出くわしたこともある。
芸術とは大の大人が真剣に取り組む価値のある重大事なのだ。
僕は重要なことを学んだ。
( 日経  私の履歴書 より  村井邦彦  作曲家  )